ブックタイトル平成28年度_ふくいろキラリ
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平成28年度_ふくいろキラリ
私は、平成16年4月から「仙台市地域連携フェロー」に、平成25年4月から「福島県地域産業復興支援アドバイザー」に、平成26年4月から「大崎地域ものづくり課題解決研究会座長」にそれぞれ就任し、様々な地域産業支援活動を行っています。特に、東日本大震災以降は、活動目的を被災地域産業の復興支援に拡げて、精一杯の活動を行っています。全国の多くの大学では、社会貢献、地域貢献の観点から、積極的に産学官連携に取り組むようになってきました。しかし、実用化まで至る成功率は極めて低く、成功率をあげるために有効な産学官連携スタイルを見出すことが大きな課題となっています。私は、実効性のある地域産学官連携スタイルの確立を目指して、「御用聞き型企業訪問」の活動を企画・実行することにしました。これは、大学教員が地元自治体や産業支援機関の職員とともに地域企業に出向き「技術的に困ったことはありませんか?研究開発や技術上の問題で困った時は、いつでも相談に応じますのでお気軽にご連絡下さい。」と地元中小企業を訪問し潜在的な技術ニーズ等を掘り起こす活動です。これまでに、400社以上の地域企業を訪問させていただき、企業からの技術相談に対応した数は2000件以上。そして、100件以上の事業化を図ることができました。「新たな自社製品の提案を行うとともに、企業が開発に挑戦したものの実用化に至らなかったものや技術課題に直面している開発案件を掘り起こし、残りの開発課題を抽出した上で、課題解決のための具体的な問題を設定し、その問題を解決し製品化・実用化へ結びつける。」という好循環が次々と確立されていったのです。実用化成功率を上げるため、最初の製品化のための「ミニマム目標を設定する」、「開発当初から商品名を考える」などの工夫も行いました。我々の地域産業支援活動を、元日本立地センターの林聖子氏(現亜細亜大学教授)が、「仙台堀切川モデル」、「福島堀切川モデル」、「宮城おおさき堀切川モデル」とそれぞれ命名され、産学連携学会等で多数研究発表してきておられます。我々の活動は、マスコミ、国会など様々なところで取り上げられるようになり、「お金と時間をかけずに地域企業と大学が連携して次々と実用製品を生み出す新たな産学官連携モデル」として、急速に社会に広まりつつあるのです。東日本大震災以降、被災地域の多くの企業が存続の危機に直面しています。雇用確保、雇用創出、消費活性化、販路開拓、受注開拓が、緊急かつ重要な課題となっています。被災地域が、震災前の状態に完全に戻ることは不可能です。それでも、あるいはそれだからこそ、魅力ある新製品・新事業に挑戦したいという被災地域企業は非常に多いのです。私は、「復旧から復興そして大いなる飛躍に向けて」をモットーに、「新しい地域産業の創出による復興」及び「我が国及び世界の雇用創出・経済発展につながる新しい産業構造の確立」という夢の実現を目指して、「小さな成功事例を多数生み出し育てていく地域産業のものづくり支援活動」にこれからも全力で取り組んでいきたいと考えています。堀切川一男教授東北大学大学院工学研究科博士課程修了。東北大学助手、助教授、山形大学助教授を経て、平成13年6月より東北大学教授に。これまで地域中小企業からの相談に応じ、産学官連携による商品開発・事業化の成果は100件以上。これまで米ぬかを原料とする高機能・多機能炭素材「RBセラミックス」、滑りにくいサンダル、車いす用電動駆動ユニットなど、数多くの新製品を生み出してきた。平成25年4月からは、福島県地域産業復興支援アドバイザーに就任し、本県企業の支援を行っている。STORY02堀切川一男教授東北大学大学院工学研究科教授福島県地域産業復興支援アドバイザー被災地の将来を見据えたものづくり産業復興支援61